全身の健康を守る「腸内フローラ」5つの作用とは?
まるでお花畑!腸内フローラとは?
私たちの腸内には、500~1000種類以上、600~1000兆個の腸内細菌が棲みついていると言われています。
重さにすると、1.5kgから2kgにもなります!
それら腸内細菌が同じ仲間同士で集まって、増えたり減ったりしながら勢力争いを続けています。
まるでお花畑のように腸内細菌がびっしりと敷き詰められている様子から「腸内フローラ」と呼ばれ、このバランスによって私たちの健康状態が左右されます。
たとえ同年代でも、食事や生活習慣によって「腸内フローラ」はまったく異なったものになります。
腸内フローラをつくる腸内細菌たち
腸内細菌は、大きく3種類に分けられます。
●善玉菌
消化吸収を助けたり、病気に対する抵抗力をつけるなど人体に有用な働きをする菌。
代表的な善玉菌には、乳酸菌(正しくは乳酸桿菌と言います)とビフィズス菌があり、それぞれにさまざまな種類が存在します。
乳酸菌やビフィズス菌は、食物繊維やオリゴ糖などをエサにして、プロピオン酸、酢酸(さくさん)といった脂肪酸や体に有用な有機酸を作ります。
これらができることにより腸内はより酸性となり、有害菌や口から入った病原菌の活動や増殖を抑制することができるようになります。
● 悪玉菌
細菌毒素を生成して、腸内腐敗を起こしたり炎症を起こす物質や発ガン性のある物質を作る悪い菌。
代表的な悪玉菌には、大腸菌やウェルシュ菌があります。
これらは食べて消化しきれなかった食べカスであるタンパク質などをエサにして、人の毒になるアミン、インドール、フェノール、クレゾールなどの毒性物質をつくっています。
これらの物質が増えると腸内腐敗を引き起こし、いろいろな生活習慣病のもととなっていきます。
現代人は食物繊維不足、さらに肉を中心とした高脂肪、高タンパク食が多くなりがちなめ、悪玉菌をどんどん元気にしています。
● 日和見菌(ひよりみきん)
特に良い働きもしませんが、腸内に善玉菌が多いとおとなしく、悪玉菌が増えると悪さを始める性質があります。
「腸内フローラ」を構成している腸内細菌は、私たちの体を多方面から助け、
病気にならないように、また、老化を防ぐように働いていることがわかっています。
若々しく健康な人は、善玉菌優勢の腸内フローラを、
不健康で更けて見える人ほど、悪玉菌優勢の腸内フローラを持っています。
腸内細菌のバランスは年齢によって変化する
母乳を飲む赤ちゃんの腸内細菌は、約95%がビフィズス菌。
離乳とともに日和見菌が増え始め、ビフィズス菌の占有率も20%程度になります。
成長とともに様々な菌が棲むようになりますが、それでも青年期は多くの人がビフィズス菌優勢です。
中年期から老年期になると善玉菌は減少し始め、替わりに、血液を汚し、病気の原因になる悪玉菌の勢力が強くなってきます。
中年期以降は、より腸内環境に気を配る必要があります。
腸内細菌の5つの作用
健康な腸内フローラをもっている人において、腸内細菌は以下のような作用があることが知られています。
1.病原体の体内侵入に際して、それを排除するように働きます。
2.私たちの体は食物繊維などを消化する能力はありませんが、腸内細菌がそれを消化してくれます。
3.ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンKなどのビタミン類も腸内細菌が作ってくれます。
4.幸せ物質であるドーパミンやセロトニンを合成し、その前駆体を脳に送っています。
5.免疫力のおよそ70%が腸内細菌と腸粘膜細胞との共同作業で作られています。
このような腸内細菌の働きによって、腸が健全に保たれ、病気や老化の予防につながっています。
「人生のパートナー」とも言える腸内細菌と上手に付き合い、美しい「腸内フローラ」を保つことが、美と健康の秘訣です!